免疫チェックポイント阻害薬に免疫賦活剤を併用することで転移性メラノーマの全生存期間が改善/ダナ・ファーバー癌研究所(海外癌医療情報リファレンスより)
01.記事「免疫チェックポイント阻害薬に免疫賦活剤を併用することで転移性メラノーマの全生存期間が改善/ダナ・ファーバー癌研究所」
02.原文「Immune booster combined with checkpoint blocker improves survival in metastatic melanoma」
04.元となる論文の翻訳記事「抗CTLA-4抗体+GM-CSF、転移性悪性黒色腫に有効/JAMA」(CareNetより)
本臨床試験は、他剤で化学療法を受けたことのある病期3か4の転移性黒色腫患者に対する、イピリムマブ+サルグラモスチム併用療法とイピリムマブ単剤療法を比較した第2相ランダム化試験である。
黒色腫は、メラニン形成細胞という皮膚の細胞(皮膚の色を作り出している細胞)から悪性(がん)細胞が発生する疾患である[1]。また、悪性度が非常に高い[2]。
CTLA(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原)-4阻害剤(免疫チェックポイント阻害剤の一種)イピリムマブ[3]は、T細胞の活性化を抑制するCTLA-4を阻害することで、T細胞の活性化を促す[4]。
サルグラモスチム(日本では未承認)は顆粒系コロニー刺激因子(G-CSF)製剤である[5]。
G-CSFは顆粒系白血球の分化に関与する。抗癌剤治療における副作用である骨髄抑制は、造血障害を引き起こす。特に、好中球が減少すると、感染症に罹りやすくなる。この場合、好中球の増加を刺激する G-CSF 製剤が投与される[6]。
本臨床試験には上記の患者245人が参加した。なお、追跡調査期間中央値は13.3カ月であった。
結果は以下の通りであった。
イピリムマブ+サルグラモスチム併用療法群
年齢中央値:61歳、生存期間中央値:17.5カ月、1年生存率:68.9%、
無増悪生存期間中央値:3.1カ月、奏効率:15.5%(完全奏効:1.6%、部分奏効:13.8%)、
治療関連のGrade 3~5の有害事象の発現率:消化管16.1%;肺0%;全体44.9%
イピリムマブ単剤療法群
年齢中央値:64歳、生存期間中央値:12.7カ月、1年生存率:52.9%、
無増悪生存期間中央値:3.1カ月、奏効率:14.8%(完全奏効:0%、部分奏効:14.8%)、
治療関連のGrade 3~5の有害事象の発現率:消化管26.7%;肺7.5%;全体58.3%
この結果から、イピリムマブとサルグラモスチムの併用により、全生存期間が延長し、1年生存率も上昇し、かつ、有害事象も減少した。その一方で、無増悪生存期間や奏効率には、有意差は認められなかった。
筆頭著者のF. Stephen Hodi医師によると、「治療によって、初期の病勢進行のように見える炎症が引き起こされたためという可能性もあるが、研究が進まないことにはわからない」とのことである。
「より大規模な臨床試験や長期にわたる追跡調査が必要になるが、本臨床試験結果は、進行性黒色腫患者に対するイピリムマブを投与する治療で、臨床成績の改善や重篤な有害事象の減少の可能性が開かれる」とのことである。
筆者は、「イピリムマブとサルグラモスチムの併用により、全生存期間が延長し、1年生存率も上昇し、かつ、有害事象も減少する」機序が気になる。
その一方で、両薬剤の日本での早期承認を切望する。